男性「ストレスってうつ病になったりするけど,どうして筋トレにもだめなんですか?」
現代の生活において日々直面する問題が多くなると,それは「ストレス」となり自分のこころを蝕んでいきます。もちろん適度なストレスはヤル気の源にもなり,時には良い働きをします。
しかし,過度なストレスは心への負担をだけでなく「身体」にも影響を及ぼします。
それは「コルチゾール」と呼ばれるホルモンで,通称「ストレスホルモン」と呼ばれるホルモンが分泌されるためです。
このコルチゾールは,成長ホルモンの分泌を阻害したり,インスリンの分泌を過剰にするといった身体に対して悪さをします。
コルチゾールは悪さばかりするため,できるだけ分泌させない,ストレスを溜め込まないようにしましょう。
この記事について
・ストレスとは
・コルチゾールについて
・コルチゾールの分泌量
・運動をすることで解消
ストレスとは
もともと物理学の分野で使われていた言葉で,物体の外側からかけられた圧力によって歪みが生じた状態を言います。
医学・心理学の領域では,こころや体にかかる外部からの刺激を「ストレッサー」と言い,ストレッサーに適応しようとして,こころや体に生じた反応を「ストレス反応」と言います。
ストレッサーによるストレス反応
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心理面
・活気の低下
・イライラ
・不安
・抑うつ(気分の落ち込み,興味・関心の低下)
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身体面
・体の関節の痛み
・頭痛
・肩こり
・腰痛
・目の疲れ
・動悸や息切れ
・胃痛
・食欲低下
・便秘や下痢
・不眠
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行動面
・飲酒量,喫煙量の増加
・仕事でのミスや事故
・ヒヤリハットの増加
・注意力散漫
みなさんも一度は体験したことがあると思います。
ストレスがある時には,イライラや苛立ちから集中力がなくなり,仕事でもミスが増えてしまいます。ひどいときには胃が痛かったり,動悸もあるでしょう。
それほどストレスは身体的,精神的にダメージを与えます。
コルチゾールについて
副腎といって腎臓の上についている臓器があります。
副腎からコルチゾールと言われる「ストレスホルモン」が分泌されます。
このコルチゾールは「ストレスホルモン」と言われるだけあって,ストレスが起きたときに分泌されます。もちろん,それ以外のときにも分泌され,生命に必要な働きも担っています。
・糖質,脂質,タンパク質の代謝をコントロール
・炎症を抑える
・ストレスホルモンとして
・睡眠中のエネルギー補給
・朝にカラダを目覚めさせる
糖質,脂質,タンパク質の代謝をコントロール
主な働きは肝臓で糖の合成,筋肉でたんぱく質の代謝,脂肪組織で脂肪の分解をする,といった体が必要とするエネルギー量に合わせて調整をしています。
炎症を抑える
コルチゾールには体内で起こる炎症を抑え免疫を抑制する働きがあります。炎症を抑えることから「ステロイド系抗炎症薬」として病気の治療に使われたりもしています。
ストレスホルモンとして
危機感やストレスを感じると「体は危機感に対して備えろ」という信号を脳から副腎に送ります。するとコルチゾールの分泌量が増え,心拍数が増加,体温や血圧が上昇,筋肉中の血糖値も増加し,危機に対して体は備えます。というように体を守ろうとするため,一般的には「ストレスホルモン」と呼ばれています。
睡眠中のエネルギー補給
食事をしない睡眠中もコルチゾールは分泌されます。睡眠中は体に栄養が回っていない状態です。けれども体は息をしたり,内臓を維持したりとエネルギーを使うため,コルチゾールが分泌され,体に蓄積されている糖質・脂肪をエネルギーに変換させます。
朝にカラダを目覚めさせる
コルチゾールは1日の中で就寝時が一番分泌量が低く,朝方にかけ徐々に高まり,起床後60分の間に大量に分泌されます。これは寝ている間に食事をしていないため,低血糖を防ぐためでもあります。
さらに体温・血圧上昇,脳を活性化させてくれるため,目覚めの良い朝にするにはコルチゾールの分泌が欠かせません。
正常に分泌される分には,コルチゾール本来の働きを担ってくれるため,非常に重要なホルモンだということがわかります。
しかし,ストレスを溜め込むと,先に紹介した「ストレス反応」が出現し,カラダに良い影響を与えません。できるだけ,普段の生活からストレスを溜め込まない努力が必要です。
コルチゾールの分泌量
コルチゾールは起床時に最も高く、正午に向けて低下し、更に就寝時には一番低い状態へと変化します。
この分泌の過程が正常的であり,カラダに負担をかけることはありません。ですが,度重なるストレスによってこの波が乱れると,コルチゾールの分泌量が増えます。
増えすぎると,一時的な症状だけではなく下記の病気や症状が現れることがあります。
・感染症の罹患
・記憶障害,うつ病
生活習慣病の発症
コルチゾールは,血糖や血圧をコントロールするため,動脈硬化につながります。
感染症の罹患
炎症を抑えたり,免疫に関与するため,内分泌系に影響を与え感染症のリスクもあります。
記憶障害・うつ病
コルチゾール増加により大脳辺縁系の神経細胞を破壊することも報告されています。そのため,増加しすぎると記憶力低下やうつ病といった症状も出現するリスクがあります。
ストレスで筋肉もできにくい?
過度なストレスがカラダに良くないのは誰でもわかるはず。ですが,トレーニーにとってもストレスは非常に良くないものです。
というのも,ストレスが起きることで「コルチゾール」が分泌されます。コルチゾールは成長ホルモンの分泌までも抑制する働きがあるため,せっかくトレーニングで鍛えた筋肉も成長しにくいなんてことが考えられます。
さらに成長ホルモンは,IGF-1という因子により筋肉を作るため,IGF-1までもが抑制されてしまいます。
また,眠る前にストレスが残ると血中のコルチゾールが高いままで,睡眠が阻害されるだけでなく,成長ホルモンも分泌されにくい状態になります。
トレーニングを効果的にしたい場合は,ストレスをできるだけ溜め込まないことが必要です。
・成長ホルモンの抑制
・IGF-1も抑制される
・睡眠前のストレスで血中コルチゾールが多い
・筋タンパク質の合成が低下する
運動をすることで解消
ストレスを解消する方法は多くあります。
解消方法は人により様々で,これといってないものの,万人に適用される方法として「運動」があげられます。
・生活習慣病の罹患率低下
・死亡率を低下
・ストレス解消
・気分転換
・メンタルヘルスの改善
・適切な時間に寝起きする
・深呼吸をする
・ヨガ,瞑想をする
・質の良い睡眠をとる
・栄養バランスの摂れた食事をする
ストレス解消に関しては,人により違うでしょう。好きなことをすると「スッキリ」したり,心が晴れやかになります。ストレスから解放されて,心身ともに健康になることで,筋トレや日々の生活を充実することができます。