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【作業療法士とは】2030年までなくならない仕事

病院や施設に行くと,医者や看護師,放射線技師,薬剤師など,たくさんの職種がいる中で「作業療法士」という資格を持った人たちをご存知でしょうか。

作業療法士は主に,医師の指示のもとでリハビリテーションの業務をする人たちのことです。もちろん作業療法士は国家資格であり,専門学校もしくは大学を卒業し国家資格を取得しなければなることはできません。

しかし,資格をとってしまえば生涯定年まで働き続けることができ,今の世の中安定した生活を送ることができます。

最近こんなニュースをよく見かけます。

「2030年までに無くならない仕事10選」
「今後10年で45%の既存の仕事がなくなるといわれている。」

このなかに作業療法士は,ランキング6位として位置付けされています。国家資格でありながら,10年先まで職業としても残る仕事であり,とても魅力的です。ちなみにこのランキングの中に「医師」「看護師」などは含まれていません。

作業療法士の魅力はそこだけではありません。職業として残る仕事でありながら,仕事内容にもきっと充実感を覚えるはず。

作業療法士や,これから何の資格を取ろうかと迷っている人の道標(みちしるべ)になればと思います。

この記事について

・作業療法士とは
・理学療法士と作業療法士
・学費,就職率,年収
・2030年までに無くならない仕事
・作業療法士の魅力

作業療法士とは

作業療法の定義

作業療法は、人々の健康と幸福を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる、作業に焦点を当てた治療、指導、援助である。作業とは、対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す。

作業療法士

Occupational therapist:OT

簡単にいうと作業療法とは,治療や援助が必要なひとに対してのリハビリテーションを提供することです。

主に怪我や病気,加齢によって生活が困難になった方に,作業療法としてリハビリテーションを行います。

対象となる人は幅広く,身体障害・精神障害・発達障害・老年期障害など多くの疾患をもった人に治療を行います。実際に治療だけでなく,「予防」という観点から未然に防ぐ活動も行っています。

対象者(治療対象)

身体障害:脳卒中,骨折,交通事故,脊髄損傷,パーキンソン病
精神障害:統合失調症,うつ病
発達障害;小児麻痺,自閉症,アスペルガー
老年期障害:廃用症候群,認知症

生活習慣病とされている脳卒中や骨折の患者さんが多く,お年寄りの廃用症候群の方など現在の社会問題とされる病気が対象となることが多いです。

近年ではスポーツ分野で働く作業療法士も活躍しています。

理学療法士と作業療法士


リハビリテーションといえば「理学療法士」がメジャーではないかと思います。

理学療法の定義

理学療法士及び作業療法士法第2条
「身体に障害のある者に対し,主としてその基本的動作能力の回復を図るため,治療体操その他の運動を行なわせ,及び電気刺激,マッサージ,温熱その他の物理的手段を加えることをいう。

理学療法
Physiotherapy:PT

簡単に話すと,理学療法士は怪我や病気によって運動ができない人に対して基本動作能力の改善を行う療法士です。
理学療法が基本動作を行うのに対して,作業療法は「応用動作能力」の改善を目標としています。

基本動作:歩く,立つ,座る
応用動作:階段を上る,床に座る,お風呂に入る

これらは定義上で決められていることであり,実際の臨床場面ではこの限りではありません。ひとりの患者さんに理学療法士と作業療法士が一緒に担当になることもあり,互いに協力し合いながら援助をしていきます。

他に違いを説明すると,下半身(主に下肢の怪我や病気)は理学療法,上半身(主に上肢の怪我や病気)は作業療法と決めている病院も多くあります。膝を骨折した人は理学療法にお世話になった方も多いのではないでしょうか?

正確に区別することは難しいですが,理学療法士は基本動作と下肢,作業療法士は応用動作と上肢で覚えてもらえれば良いかと思います。

学費,就職率,年収

学費

国立大学:200万円前後
4年生専門学校・私立大学:400万円前後
3年生の専門学校:300万円前後

国立大学が学費を抑えることができます。専門学校や私立などは高い傾向です。しかし,独自のカリキュラムもあるため,学費面だけで選ぶのは得策ではありません。

就職率

就職率:90〜100%

正直,就職率は2020年現在では,どこの学校でもほぼ100%です。就職時に判断されるのはむしろ個人の性格や,学校生活での成績,出席率など個人因子が強いです。
就職したい場所,例えば大学病院や大学,といった難しい就職先は,入学した学校(大学なのか夜間専門学校なのか)によっても判断されることはあるかもしれません。
しかし,就職だけでいえばとくに変わりはないでしょう。

年収

平均年収:426万円

経験年数や,働く場所,働くところは病院・施設,によって大きく変わってきます。勤務した病院の昇給率によっても変わるため正確な数字は言えませんが,平均値は上記の通りです。

2030年までに無くならない仕事

AIによって仕事が奪われやすい仕事

・人よりもAIの方が正確に行える,作業効率が上がる
・AIが人の代わりに全て行える

機械作業や繰り返しの作業など,機械でも代替が可能な仕事はAIに置き換えられるでしょう。奪われやすい仕事として,オペレーターや事務作業員が挙げられています。このような仕事は次第になくなる可能性はあります。

2030年までに無くならない仕事

複合的な知性や複雑な判断が要求される仕事,あるいは型にとらわれないような仕事はAIに代替されにくいと考えられます。

1.レクリエーションセラピスト
2.メカニック、修理工、施工業者
3.緊急管理取締役
4.メンタルセラピスト
5.聴覚訓練士
6.作業療法士
7.歯科技工師、義肢装具士
8.医療ソーシャルワーカー
9.口腔外科医
10.消防士

作業療法士は6位にランクインです。
このランキングは引用ですが,702種類の職業から考えられたものであり,AIに仕事を奪われにくい仕事であると考えられています。

「奪われる」という言い方には語弊がありますが,AIが代替してくれます。
リハビリテーション分野では,対人との関係であり全員が同じ病態でも症状が違っていたり,患者の性格上相手に合わせた治療を行う必要があります。そのため,型にハマった治療ができない場合もあります。

つまり100%正解がないことが多い,という点が作業療法のリハビリテーションにはあります。

患者さんに合わせたものを提供できるかは,相手との会話やコミュニケーション,などのスキルが必要であり,AIにはまだ対応することができないでしょう。

作業療法士の魅力


「相手の生活に沿った治療を行えること」です。
私たちにとって一番嬉しいことは「生活に戻る」ことです。自宅や施設,家族との生活環境に帰ることは,怪我や病気で入院している人にとっては難しいことです。たくさんのリハビリをして,どうやったら帰れるか,いかにして怪我を克服するか,辛さや困難を乗り越えることは,まだAIにはできないことでしょう。

とくに作業療法は応用動作という極めて難しい動作の訓練もするため,機能的にも機械には代替は難しいです。歩く,立つ,とった場面は徐々に病院でも普及していますが,それ以外は難しいでです。

作業療法は,まだまだ魅力がたくさんあります。
次回以降,引き続きお伝えできたらなと思います。